1968年に京王帝都電鉄(現在の京王電鉄)が5000系と5100系に冷房装置を搭載したのを皮切りに私鉄の通勤電車で冷房化が進んでいたことから私鉄とのサービス格差を改善する目的で山手線に10両1編成が試験的に導入された。装置の比較・検討のため以下の仕様になった。

メーカーの異なる装置を3種類搭載。

冷房装置の後のXは「試作品」(eXperimental) を意味するサフィクス。

同じ冷房車でも各車で送風ダクトの本数や室内通風口の位置・扇風機の有無等で差をつけた。冷房電源用のMGは通常のモハ102形とは別に編成両端のクハ103形に出力210kVAのものが各1基ずつ搭載され、それぞれ5両給電となった。

冷房装置の構造の違い。

AU73X形:AU74X形…内部に3基の小型ユニットクーラーを集約。
AU75X形…内部に2基の大型ユニットクーラーを集約。

1ユニットが故障した時の機能低下が少ない点では前者2つが有利だったが、製造と保守のコストではAU75X形が有利。

後に東芝と日立も2ユニット構成のAU73X形およびAU74X形を試作しているが、最終的にはAU75X形が標準仕様として採用された。

1971年以降冷房と扇風機を併用したAU75X形として三菱・日立・東芝の3社で量産が始まった。

このグループはクハ103形が最後の白熱灯式前照灯採用車であるが、冷房搭載の他に以下の設計変更が行われた。

客室窓を外ハメ式のユニット窓に変更。

運転席下の通風口を省略

客室座席を人間工学に配慮した新型に変更

座席下の奥行を延長し、背もたれの角度を増大した。

座席下の客室ヒーターとその設置方法を改良。

当初は池袋電車区(現在の池袋運輸区)に配置されていたが、1978年の冷房試験終了後に量産車と同仕様に改造。その後1979年の山手線のATC化で各車がバラバラに転属するようになった。そして2000年4月3日に習志野電車区(現在の習志野運輸区)配置の4両を皮切りに廃車が始まり、2005年11月22日に京葉車両センター配置のサハ103-30をもって全て廃車となった。

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