日本のとある町に住む研究熱心な兄妹は今日も開発と改良に明け暮れていた。
「なあ臨美、ここはこうした方が良くね?」
「う〜ん、俊作がそう言うなら。」
発田俊作は研究熱心な発明家で臨美は彼の妹、俊作は水色の髪に眼鏡を掛けていて青のTシャツにジーパンという組み合わせだ。そして発明家らしく普段から白衣を羽織っている。妹の臨美は茶色のセミロングに黄色のワンピースを着ていて腹部にピンクの帯を巻いている。そして兄同様普段から白衣を羽織っている。ちなみに普段は白衣に隠れて見えないが帯の余り部分が尻あたりまで伸びている。
二人は日々研究と開発を続けていた。
そんなある日二人は町の名所である「長山開発タワー」に来ていた。エレベーターで登った先には地上からの高さ100m程の展望台がある。展望台からの景色を眺めてると臨美が言った。
「この更に上のスカイデッキに出てみない?」
臨美の提案で二人はスカイデッキに出た。
100mの高さのスカイデッキからの眺めは非常に抜群で日々の疲れを忘れさせるほどだ。またスカイデッキの位置が高いので風が強く二人の白衣が良くはためく。すると俊作がある異変に気付く。
「あそこ何か騒がしくないか?」
臨美はそこに目を向けると
「本当だ。クレーン車とか来てるわ。」
「しかもよく見ると家の近くだ。行ってみよう。」
異変に気づいた二人はすぐに現場に向かった。
現場に辿り着くとそこには人集りがあった。
「何があったんだ?」
「配管の奥から猫みたいな声が聞こえて来たんだ。」
懐中電灯で配管を覗くとそこには子猫が挟まっていた。
どうやら何かの拍子に迷い込んでそのまま挟まったようで気が付いたら身動きが取れなくなっていたようだ。消防やレスキュー隊が救出に当たるも深すぎて救出が出来ずにいた。もはや一刻の余裕も無い。
「あっ、そうだ。」
俊作は声を上げると懐から何かを取り出した。
「こんな事もあろうかと思って用意しておいたんや。」
俊作が取り出したのは何の変哲も無さそうな手袋だった。
「それでどうするの?」
臨美が問うと
「これを嵌めて手を伸ばすと遠く離れたとこまで伸縮できるんだ。名付けて伸縮手袋〜」
「そんな事やってる場合じゃないでしょ!早く助けないと。」
臨美に言われてハッとした俊作はすぐに配管に手を伸ばした。
伸縮手袋を嵌めた手は順調に伸びて行き遂に猫の所まで到達した。後は捕まえて救出するだけだが突然伸びてきた手に怯えたり警戒したりして思うように行かない。
「くそっ、あともう少しなのに。」
手を伸ばせば爪で引っ掻かれたりあわや噛み付かれそうになったりと猫の警戒心は強まるばかり。しかも中が見えないので手の感覚だけが頼りだ。
「絶対救出してやる。」
すると
「やっと捕まえたぞ。」
ついに猫を捕まえることに成功した。
「後はそのまま引っ張って。」
臨美の指示で手を引っ張り出した。そして
「やった!救出成功だ。」
救助に成功し喜ぶ一同。しかしそれも束の間だった。
「何だ?電気が消えたぞ。」
突然の停電に困惑する一同。すると俊作が口を挟んだ。
「この伸縮手袋実は電気が動力なんだけど使用中に大量に電気を消費したみたいでその・・・街中のブレーカー落ちちゃったみたいなんだ。」
口がラップ調になりながらも言い訳する俊作だが一同の目は鋭くなり
「何してくれとんねんこのヘンテコ発明家がぁぁぁぁぁ!!!」
「ぎぃやぁぁぁぁ!!猫助かったんだしもういいじゃんんんん!!!」
一同の掛け合いに臨美は
「私知ーらない。」
呆れて家に帰ったようだ。
こうしてヘンテコ発明家の研究と改良は日々続くのであった。
「ちょっと待てぇぇぇぇぇ!勝手にヘンテコ発明家にするなぁぁぁぁぁ!!」
終わり